ベロシティの高いチーム向けの ITSM
IT サービス管理 (ITSM) とは
IT サービス管理 (ITSM) とは、IT チームが、顧客に対するエンドツーエンドの IT サービスの提供を管理する方法です。これには、IT サービスの設計、作成、提供、サポートなど、あらゆるプロセスとアクティビティが含まれます。
ITSM のコア コンセプトは、IT をサービスとして提供する必要があるという考え方です。一般的な ITSM シナリオでは、ラップトップなどの新しいハードウェアが求められる可能性があります。ポータルからリクエストを送信し、関連するすべての情報をチケットに入力し、繰り返し可能なワークフローを開始します。その後、チケットが IT チームのキューに追加され、受信リクエストは重要度に応じて並べ替えられ、対応されます。
アトラシアンの ITSM
アトラシアンの製品を使用した ITSM について知っておくべき基本事項 (IT の提供、運用、サポート、ベスト プラクティス、ヒントなど) について説明します。
日常的な IT とのやりとりにより、ITSM を基本的な IT サポートと誤解することがよくありますが、ITSM チームは、パソコンからサーバー、ビジネス クリティカルなソフトウェア アプリケーションまで、あらゆる種類の職場テクノロジーを管理しています。
IT 業界では、共通の考え方として、次の 3 つのステップで行うことが ITSM への適切なアプローチであるとしています。1) IT テクノロジーを構築して実装する。2) 適切なプロセスを取り込み、適用する。3) ユーザーはそのテクノロジーを学び、プロセスに従う。アトラシアンは従来の考え方を逆転させます。
私たちにとって、チームが最も重要です。チーム プレイブックも作成して、チームが作業方法を改善するために役立つツールを提供しています。IT チームには継続的な学習と改善が必要です。組織に変化をもたらすためには、チーム メンバーが尊重され、信頼されていると感じることが必要です。IT チームは、階層化されたレポート構造や厳格なプロセスによって強要されるルールに対応するのではなく、SLA の採用や実装するソフトウェアなどについて、情報に基づいて意思決定を行うことができます。IT チームが生産性の向上とデジタル変革を実現するために、強力な組織のための強力な IT チームが不可欠です。IT チームは、ITSM のプロセスとテクノロジーの中心にあります。
IT チームの力に重点を置くと、組織に価値を提供するための独自のプラクティスと能力を開発することができるようになります。人材がどれほど立派であっても、単に別の組織の標準セットを「コピー アンド ペースト」し、独自の環境で機能するよう願うだけでは不十分です。成功している IT チームは、ITIL (IT インフラストラクチャ ライブラリ) のようなフレームワークから独自アプローチを構築していますが、顧客の共感を呼ぶプロセスを採用する方法を慎重に考えています。
最後に、ソフトウェアとテクノロジーによって、チームのプラクティスがサポートされ、その影響が拡大される必要があります。優れた ITSM ソフトウェアは、IT 部門がチーム間のコラボレーションにより組織内の他のユーザーとつながることをサポートします。また、エンド ユーザーを支援し、日常的な作業を自動化することによって、全員が最も重要なことに集中できる時間が増えます。テクノロジーが障害物となり、不要な複雑さや欲求不満を生み出しているのを誰もが見たことがあるでしょう。テクノロジーがうまく機能すると魔法のように感じますが、実際には、テクノロジーを活用するチームの努力が反映されているのです。
ITSM、ITIL、DevOps の比較
IT チームは、さまざまなフレームワークを活用して作業をガイドします。COBIT、SIAM、IT4IT、リーンなど、他にも多くの概念がありますが、最も一般的に耳にするのは ITSM と DevOps です。
では、どの略語を知っておく必要があるのでしょうか。ここでは、最先端の IT チームにとって最も影響力のある 2 つのフレームワーク、ITSM と DevOps について ITSM への共通のアプローチとともに説明します。まず、いくつかの重要な用語の定義から始めましょう。
ITSM
上記のとおり、IT サービス管理とは、IT チームが顧客に対する IT サービスの提供を管理する方法です。チームの ITSM に対するアプローチは ITIL プラクティスに沿って、DevOps の概念を反映するように構成されます。
ITIL
ITIL とは、最も広く使用されている、ITSM アプローチです。ITIL は、IT サービスとビジネス ニーズを調整するためのプラクティスに焦点を当てています。ITIL は、組織が継続的な変革と拡張に適応するのを支援できます。ITIL 標準の最新版である ITIL 4 は、IT チームにとってパラダイム シフトを意味します。これにより、チームは包括的なビジネスと顧客価値の基準枠に誘導され、チームの働き方に基づいたより柔軟なアプローチを進めることができます。ITIL 4 の基本的指針によって、コラボレーション、シンプルさ、フィードバックが推進されます。
ITIL は、解説用に公開されるガイダンスではなく、「ルール」と誤って伝えられることがあります。しかし、プロセスとドキュメント作業が必要だからといって、大量の煩雑な記録や事務処理上のオーバーヘッドを生成してもよいということはありません。プロセスや ITIL の「ルール」の背後に隠れることは、どんな理由があっても許されません。
DevOps
DevOps は、アジャイルでリーンなプラクティスによって実現される IT サービスの迅速な提供に重きを置いています。DevOps によって、開発チームと IT 運用チーム間のコラボレーションが向上するため、組織はソフトウェアをより短時間でかつ信頼性の高い形でソフトウェアの構築、テスト、リリースができるようになります。DevOps によってもたらされるメリットとして、信頼の向上、ソフトウェア リリースの迅速化、重要な問題の素早い解決、計画外の作業のスムーズな管理などがあります。
DevOps には継続的な開発、統合、自動化されたデリバリーが含まれますが、コンセプトの根底にあるのは、これまでそれぞれのサイロの中で仕事をしていたチーム間でコラボレーションを行う文化を形成することです。DevOps の背景にある状況と精神の多くは、古い役割分担から離れて、協力して作業を行う (コラボレーション) というものです。残念ながら、多くの場合、DevOps は「Ops (運用)」ではなく、単に「Dev (開発)」に関連するものと見なされています。
ITSM と DevOps は通常、「二者択一」の選択肢として互いに対抗するものです。つまり、ITSM 派または DevOps 派に分かれます。ITSM と DevOps で実現できることや、それらの連携方法については明確ではありません。最先端の、パフォーマンスの高いチームは、よりスマートかつ迅速に仕事を行えることが必要だと分かっていますが、プロセスとコントロールが依然として必要であることも認識しています。
フレームワークに明示的に従うかどうかを問わず、ITSM と DevOps の基本原理を超えて、両方の要素を利用する時です。DevOps は、単に開発を自動化するためのものではなく、コラボレーションと「人のせいにしない」文化の重要性を推進するためのものです。また、ITSM と ITIL のアプローチを管理上の負担であると決めつけず、さまざまな組織の独自のニーズに合わせてアジャイルな方法で利用する必要があります。
ITSM の重要性
ITSM によって IT チームはメリットを得られ、サービス管理の原則によって組織全体を改善することができます。ITSM は効率と生産性の向上をもたらします。サービス管理に対する体系的なアプローチにより、IT 部門はビジネス目標に沿って、予算、リソース、結果に基づいたサービス提供の標準化を実現します。これにより、コストとリスクを低減でき、最終的にはカスタマー エクスペリエンスが向上します。
ITSM の最も一般的なメリットをいくつかご紹介します。
- 成功指標を通じて追跡されるビジネスの優先事項と IT チームの足並みをそろえる
- 複数の部門にわたるコラボレーションを可能にする
- 合理化されたプロジェクト管理アプローチにより、IT チームと開発チームを連携させる
- IT チームが知識を共有し、継続的に改善できるように支援する
- より効率的なサービスを実現するためにリクエスト調整を改善する
- セルフ サービスと優れたプロセスにより顧客中心主義を推進する
- 重大なインシデントに迅速に対応し、今後のインシデントを防止する
上記のすべてによりコストが削減され、より優れたサービスを実現できるようになります。
ITSM プロセス
ITSM プロセスとはどのようなものでしょうか。ITIL バージョン 4 は、ITSM の「プロセス」を推奨していましたが、最近 ITSM「プラクティス」34 項目の導入へとシフトしました。この用語の更新についての根拠は、「文化、テクノロジー、情報、データ管理などの要素を考慮し、働き方に関する包括的なビジョンを得られるようにする」ことです。より包括的なこのアプローチは、現代の組織の現実をより適切に反映しています。
ここでは、プラクティスやプロセスの用語を使用するにあたって、微妙な違いについては気にしないことにします。チームがどのフレームワークに従うかではなく、最先端の IT サービス チームが組織のリソースを利用して繰り返し可能な手順に従い、一貫性のある効率的なサービスを提供することが重要です。実際、プラクティスやプロセスを活用することが、ITSM を IT から区別することです。
ITSM の中核的なプロセスのいくつかを次に示します。
サービス リクエスト管理
サービス リクエスト管理は、アプリケーションへのアクセス、ソフトウェアの拡張、ハードウェアの更新など、広範囲に渡る顧客からのサービス リクエストを処理する繰り返し可能な手順です。サービス リクエストのワークストリームには、繰り返し発生するリクエストが多く含まれているため、顧客がナレッジを得たり、特定のタスクが自動化されたりすることによって大きなメリットが生まれます。
ナレッジ管理
ナレッジ マネジメントは、組織の知識と情報を作成、共有、活用、管理するプロセスです。知識を最大限に活用することにより、組織の目的を達成する分野横断的なアプローチです。
インシデント管理
インシデント管理は、予期しないイベントまたはサービス中断に対応し、サービスを運用状態に戻すために使用するプロセスです。組織が現在依存しているすべてのソフトウェア サービスを考えると、潜在的な障害点はこれまで以上に多く存在します。そのため、このプロセスが課題に迅速に対応して解決できるようになっていなければなりません。
問題管理
問題管理は、IT サービスのインシデントの原因を特定して管理するプロセスです。問題管理は、インシデントを特定して修正するだけでなく、インシデントの根本的な原因を特定して理解し、その根本原因を排除するための最善の方法を特定するプロセスです。
変更管理
変更管理では、新しいサービスのロールアウト、既存のサービスの管理、コードの問題の解決など、IT インフラストラクチャに対するすべての変更を効率的かつ迅速に処理するために標準的な手順が確実に使用されるようにします。効果的な変更管理によって、コンテキストと透明性が提供され、リスクを最小限に抑えながら、ボトルネックを回避できます。
これらの管理や、ITIL プラクティスの一覧表に圧倒されないでください。現在の状態から、最も理にかなっているプラクティスを採用してください。チームは現状から、組織の進化の過程を通して学び、適応していくことで成長できます。
ITSM ソフトウェアとツール
ITSM ソフトウェアを使用することで、IT チームは、ビジネス ニーズに合わせて、組織の変更、変革、成長に向けた戦略的アプローチをとることができるようになります。スタンドアロン アプリケーションからプラットフォーム サービスまで、市場には多種多様な ITSM ソフトウェア ツールが用意されています。
IT チームが使用する従来の ITSM ツールは柔軟性に欠けるため、カスタマイズや進化する要件への適応が困難だと不満を漏らすのをよく聞きます。また、さまざまな ITSM プロセスには複数のツールが存在しています。モジュール式ツールでは障壁が作り出され、メンバーはサイロ化し、チーム間の可視性が失われていきます。従来の ITSM ツールは、デプロイと管理が困難な場合が多く、エンド ユーザーは直感的ではないツールの採用を避けてしまいます。このような状況では、セルフ サービス ITSM 機能が不十分になったり、存在しなくなったりする可能性もあります。
サービス デスクは ITSM の基盤であるため、組織に適したサービス デスク ソフトウェアを選択することが重要です。サービス デスクは、顧客と IT チーム間のインターフェイスとなります。ITIL では、サービス デスクを「サービス プロバイダーとユーザーとの間の単一窓口。典型的なサービス デスクはインシデントとサービス リクエストを管理し、ユーザーとのコミュニケーションも扱う」と定義しています。サービス デスクはまた、他の ITSM プロセスの管理にも重要な役割を果たす必要があります。サービス デスクと他の ITSM ツールが、以下の要件を満たしているかどうかを検討してください。
- 使いやすく、セットアップが簡単: クリーンで直感的なセルフ サービス型ポータルにより、支援依頼、ナレッジ検索、課題の進捗追跡が簡単になります。
- コラボレーションの実現: 開発者と部門横断型のチームが連携するためのプラットフォームを提供し、課題解決までの時間を短縮できます。
- ニーズに適合: 非常に柔軟で、IT チームが望むあらゆる解決方法、エスカレーション、変更プロセスをサポートします。
要約
ITSM は、組織の近代化の中心にあります。ソフトウェアを利用したサービスの導入が加速する中で、IT サービス チームによって、組織全体の従業員とチームはより迅速に価値を実現できるようになります。IT チームの役割は、ビジネスのサポートからビジネスの差別化へと変化しています。コラボレーション、使いやすさ、より迅速な価値の提供を重視する ITSM へのアプローチに向けて移行するときです。